無理ゲー社会 橘玲 書評レビュー

読了後、暗鬱とした気持ちになる本だが、現実を理解するという意味ではとてもいい本、情報だと思います。

恐らく読者は今現在はそれなりに余裕がある生活をしている人だと思うので、今があるのは実力だけでなく、運やタイミングのおかげであると謙虚に思えるようになるのではないでしょうか。

本書を読んで考えたこと


社会は子どもや若者に夢を持つことを強要している。それは夢のために頑張るということをさせたいからであり、頑張らせたいからである。

しかし、若者たちはそこまで頑張りたくもない。自分らしくそれなりに生きていきたいと願っている。


身分制が残っていた時代は生まれた身分で職業も決まり、結婚相手もある程度決まっていた。

よって仮に不幸であったとしても生まれのせいにで来ていた。

しかし今や自分が不幸であることは自己責任であり、努力や頑張りが足りないせいであるとされてしまっている。

なぜなら理論上は頑張れば全ての人がほんとうのなりたい自分になれる社会だからである。


自由、自己責任の先進国であるアメリカでは絶望死というパンデミックが起きている。

今までは白人と黒人の差別が多くあり、白人というだけで特権が享受できていたが現在では白人の中でも学歴による分断が起きている。

白人内での分断を不満に感じた労働者階級の支持によりトランプ大統領が誕生したのである。
上級国民と下級国民という言葉が表すように格差が生じその差が埋めがたいものになってしまった。


今や学歴が身分制のようになってしまい建前では努力や頑張り次第で逆転できることになってはいるが実際には一度下級になると日々の生活にいっぱいで自分で考えたりすることも難しくなってしまう。

その影響で陰謀論が流行ることも増えてきた。


下級とされる生活の中でどうやって自分らしさを探せばいいのか。自分らしく生きるよりもまず生きることが目標になってしまっているのが現状です。

本書を読んで改めて感じたこと


僕自身は上級国民ではないが、まだ下級でもないとは思っている。とはいえ数年前までは自活できないくらいの給料で働き続けていた。

その頃は考えたり文章を書いたりする余裕などなかった。生活のこととお金の計算ばかりの日々でした。

部屋もぐちゃぐちゃで自分に自信ももてなかった。僕の場合はたまたま勧めてくれる人がいて転職できてその状況からは抜け出せたが当時の仲間は誰一人結婚もできていない。


自分の力で状況は変えることができる。昔に比べれば一応チャンスはある。

とはいえ全員が全員上手く考えて行動できるわけではない。

背中を押してもらわないと動けないこともあるし、失敗することもあるだろう。

もう少しやり直せるチャンスや他人に優しくあれる社会であって欲しいなと改めて感じた。

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